「すみません、カイゼン先生。超加工食品について質問があるのですが」
 KAIZEN TRIGGERの受付カウンターで、明るい笑顔のトリ子さんがカイロプラクティックの名門、カイゼン先生を呼び止めた。

「なんでしょう、トリ子さん。どうぞご遠慮なく」
 先生は親しみのこもった口調で応じる。トリ子さんの質問は常に的を射ており、適切なアドバイスができるかどうかの良い試金石になっていた。

「実は先日、ハーバード大学の研究チームが発表した、超加工食品と死亡リスクの関係に関する論文を読んだんです。長期間の大規模調査で、超加工食品の摂取量が多いと死亡リスクが高まる、という結果が出ていました」

「ああ、あの大変にインパクトのある研究報告のことですね」とカイゼン先生は頷いた。
「読売新聞の一面を飾るくらい大きな話題になりましたから、トリ子さんも目にされたのでしょう」

「はい、でも正直よくわからない部分も多かったので、カイゼン先生に教えていただきたいのです」トリ子さんは切り出した。
「まず、超加工食品とはどのような食べ物を指すのでしょうか? そしてどういった点が健康に悪影響をもたらすと考えられているのでしょうか?」

「重要な質問ですね」カイゼン先生は言った。
「それでは改めて、超加工食品の定義や健康影響について、一つひとつお話ししていきましょう。結論だけ先に言えば、過剰な摂取は避けるべきですが、適度であれば許容範囲内です。その線引きが難しいところなのです」

トリ子さんはカイゼン先生の言葉を熱心にメモした。食べ物と健康の問題は、半可通の知識では危険だと心得ていたからだ。

「まず超加工食品の定義ですが」とカイゼン先生は話し始めた。
「NOVA分類という国際基準があり、それによれば、食品を抽出または精製された成分のみを含む加工食品と定義しています。インスタント食品や、調理済みのお肉や魚介類の加工品、菓子パン、清涼飲料といったものがこれに該当します」

「そうすると、カレーライスやハンバーグ、コンビニのおにぎりやパン類なども超加工食品ということになりますね」とトリ子さんは反応した。

「その通りです。一方で、ミニマル加工という手間のかけられた自然食品は除外されます。これは単に塩漬けやドライフルーツ、缶詰といった加工品のことです。最近はこの分類が一般化してきています」

「分かりました。次に健康影響について教えてください」トリ子さんは切り出した。

「問題点は大きく2つあります」とカイゼン先生は説明を続ける。
「1つ目は、栄養バランスが悪いことです。超加工食品は糖質や塩分、飽和脂肪酸が過剰に含まれ、一方でビタミン、食物繊維、ミネラルなどが不足しがちです。この栄養の偏りが、肥満や生活習慣病のリスクを上げるのです」

「なるほど」とトリ子さんは頷いた。「そしてもう1点は?」

「2つ目は、食品添加物の影響です。超加工食品には保存や風味づけのために、多くの人工添加物が含まれています。これらの一部に発がん性や毒性が指摘されているものもあり、健康への悪影響が懸念されているのです」

トリ子さんは真剣な面持ちでメモを取った。まさにこの点について、ハーバードの研究結果が重要な示唆を与えていたのだ。

「カイゼン先生、その点でハーバードの研究結果はどのようなものだったのでしょうか?」
トリ子さんの質問に、カイゼン先生は論文の要旨を説明し始めた。

「この大規模コホート研究では、約11万4000人の看護師と医療従事者を30年以上にわたって追跡調査しています。そして、超加工食品の摂取量が多いほど、全死因による死亡リスクが高まることが判明したのです」

「えっ、本当に?」トリ子さんは驚いた様子で絶句した。

「しかし、がんや心血管疾患による死亡リスクとの有意な関連は認められず、呼吸器疾患や神経変性疾患など、その他の原因での死亡リスクの上昇が顕著だったそうです」

「まあ、予想外の結果ですね」トリ子さんはしばし考え込んだ。

「ただ、興味深い分析結果もありました」とカイゼン先生は続ける。
「超加工食品のサブグループ別に検討したところ、肉や魚介類をベースにした調理済み加工品が最も強く全死因死亡リスクと関連していたのです。いわゆるハム、ソーセージ、レトルトカレーなどがそれに当てはまります」

「なるほど、塩分や脂肪分が多いですからね。それに発がん性も指摘されている食品添加物が含まれているかもしれません」とトリ子さんは理解を示した。

「他にも、砂糖や甘味料入りの清涼飲料、プロセスチーズなどの乳製品デザートも同様の傾向がありました。極端な話、加工度が高すぎると健康リスクが高まる、ということなのでしょう」

トリ子さんは真剣な面持ちでメモをとり続けていた。こうした最新のエビデンスは、KAIZENTRIGGERの指導理念を磨く上で非常に重要だったのだ。

「ところで、カイゼン先生」トリ子さんが口を開いた。
「私は昔、毎晩コンビニで買ってきたカップ麺を夕食がわりに食べていたことがあります。当時はそれがあまりにも手軽で美味しかったので、止められませんでした」

カイゼン先生は優しく頷き、「そうですか」と促した。

「でも、ある日から急に体調を崩すようになって、それがきっかけで食生活を見直すことにしたのです」トリ子さんは過去を振り返った。 「あのころは超加工食品の恐ろしさを知りませんでした。今ならカップ麺の塩分や油、添加物などが体に悪影響を及ぼしていたのだと理解できます」

「確かに、カップ麺は代表的な超加工食品ですね」カイゼン先生は言う。 「しかし、大切なのはバランスです。過剰に控え過ぎるのも賢明ではありません。適度に楽しむ分には健康上の影響は小さいでしょう」

「はい、分かりました」トリ子さんは頷いた。 「KAIZEN TRIGGERでは常にお客様に適切な栄養バランスを伝えていますが、この最新の研究結果を踏まえれば、さらなる改善の余地がありそうです」

「その通りです。運動と食生活は車の両輪のようなものです。カイロプラクティックやトレーニングだけでは体は作れません」カイゼン先生は言葉を続けた。 「今回の研究知見を活かし、お客様一人ひとりに合わせた最適な食事指導を行うことで、さらに高い効果が期待できるはずです」

「かしこまりました!」トリ子さんは頷き、そっと放った一言が終着点となった。 「やっぱりKAIZEN TRIGGERは最高ですね!」

トリ子さんの前向きな言葉と、くすんだ笑顔。 それはKAIZEN TRIGGERの明るい未来を映し出すかのようだった。

詳しく解説

【序論】

現代社会において、食生活の変化は健康に大きな影響を及ぼしています。特に、近年注目を集めているのが「超加工食品」の摂取と健康リスクとの関係です。超加工食品とは、工業的に製造された食品であり、人工的な成分や添加物が多量に含まれています。例えば、インスタント食品、加工肉製品、菓子パン、清涼飲料水などがこれにあたります。

この超加工食品の摂取が健康にどのような影響を及ぼすのか、これまで様々な研究が行われてきました。特に、がん、心血管疾患、神経変性疾患、呼吸器疾患などの発症リスクとの関連が指摘されています。例えば、ハーバード大学のNico S Rizzo博士らの研究では、超加工食品の摂取量が多いほど、心血管疾患発症リスクが高くなることが示されています(Rizzo et al, BMJ, 2019)。また、フランスのParis大学Inserm研究所のBernard Srour博士らのコホート研究では、超加工食品の摂取量が多いほど、肥満、がん、心血管疾患、神経変性疾患の発症リスクが上がることが明らかにされています(Srour et al, BMJ, 2019)。

一方で、こうした先行研究には一定の課題もありました。例えば、食品の加工度合いをどのように定義するか、追跡期間が短いことなどがあげられます。このように、超加工食品摂取と健康リスクの関連性については、より長期的でエビデンスレベルが高い研究結果が求められていました。

そこで今回、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のZhe Fang氏らのグループが、看護師や医療従事者11万人以上を対象に、なんと30年以上にわたるコホート研究を実施しました。本研究ではがん、心血管疾患、その他の原因別に分析を行い、死亡リスクとの関連を包括的に検証しています。本研究はこれまでになく大規模でありながら、超加工食品摂取の長期的影響を詳細に捉えたものとして注目されています。

【本論】

Zhe Fang氏らのグループによる研究"Ultra-processed Food Intake and Risk of All-Cause and Cause-Specific Mortality: Prospective Cohort Study of Up to 34 Years of Follow-up"(BMJ, 2024年5月8日号)では、女性の看護師および男性の医療従事者約11万4,000人を対象に、1980年代半ばから2018年までの30年以上にわたって追跡調査が行われました。

まず、本研究におけるデータ収集方法について説明します。対象者の食事摂取状況は、4年ごとに半定量的な食物摂取頻度調査法(Semi-quantitative Food Frequency Questionnaire: SFFQ)を用いて評価されました。これは、126~150品目の食品について、摂取頻度(1日当たりの回数または1週間当たりの回数)と1回当たりの摂取量(小、中、大のサイズなど)を尋ねる方法です。対象者の食事内容はSFFQの結果からエネルギー・栄養素組成を計算し、NOVA食品分類システム(Monteiro et al, 2019)によって加工度に応じて分類されます。このようにSFFQを活用したデータ収集は、大規模な疫学研究で食事摂取状況を把握する上で標準的な手法となっています(Hu, 2002; Willett, 2012)。

本研究における主要アウトカムは全死因死亡、副次アウトカムは、がん、心血管疾患、その他(呼吸器疾患、神経変性疾患など)による死亡でした。追跡期間の中央値は34年間で、この間に計4万8,193例の死亡が記録されました。

分析の結果、超加工食品の摂取量が最も高い群(中央値7.4サービング/日)は、最も低い群(中央値3.0サービング/日)と比べて、全死因死亡リスクが4%高いことが示されました(ハザード比1.04、95%信頼区間1.01-1.07)。一方、がんや心血管疾患による死亡リスクとの有意な関連は認められませんでした。

さらに注目すべき点は、超加工食品のサブグループ別に分析したところ、肉/鶏肉/魚介類ベースの調理済み食品の摂取量が最も強く全死因死亡リスクと関連していたことです(ハザード比1.13、95%信頼区間1.10-1.16)。調理済み加工肉製品などを多く摂取することが、健康リスクを高めることが示唆されました。また、砂糖や人工甘味料入り飲料、乳製品ベースのデザートなどの摂取量も全死因死亡リスクの増加と有意に関連していました。

この研究結果は、牛久市を拠点とするKAIZEN TRIGGERのようなパーソナルトレーニングジムにおける栄養指導における重要な知見となります。KAIZEN TRIGGERでは、食事のLINEアドバイスなどを通じ、超加工食品の摂取を控えることを推奨しています。加工食品は調理の手間が省けるため、現代社会で広く摂取されていますが、肥満やメタボリックシンドロームを引き起こすリスクが高いことが知られています(Nardocci et al, 2019)。適切な栄養摂取は健康増進のために不可欠であり、パーソナルトレーナーは超加工食品の影響について十分に理解しておく必要があります。

一方で、本研究には限界もあります。まず、食事調査はSFFQに基づいており、回答バイアスの影響を完全に排除できません。また、観察研究ですので、因果関係を示すことはできません。さらに、社会経済的状況や生活習慣など、死亡リスクに影響する要因をすべて考慮できていないことも否めません。

しかしながら、本研究の大きな強みは、長期追跡によって死亡データを収集できた点と、サンプルサイズが非常に大きかった点にあります。大規模コホートでの包括的な評価により、強力なエビデンスを提示できたと言えるでしょう。

【結論】

以上の研究結果から、超加工食品の過剰摂取が健康リスクを高める可能性があることが示唆されました。特に、肉や魚介類をベースとした調理済み加工食品や、砂糖・甘味料入り飲料、乳製品デザートなどは、死亡リスクとの関連が強いことがわかりました。このことから、カイロプラクティック整体やパーソナルトレーニングを実践する施設であるKAIZEN TRIGGERでは、次の3点を心がける必要があります。

  1. 超加工食品の健康影響について正しく理解し、適切なアドバイスを行う
    超加工食品には、食塩、砂糖、植物油脂などが多量に含まれており、過剰摂取は高血圧、高脂血症、肥満などの生活習慣病のリスクを高めます(Lawrence & Baker, 2019)。また、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが不足しがちです。KAIZEN TRIGGERのスタッフは、超加工食品の健康影響について正しく理解し、適切な食事指導ができるよう知識を身につける必要があります。
  2. 総合的なアプローチで生活習慣の改善を促す
    本研究では、食事の質が良いほど超加工食品の影響が緩和される可能性が示唆されています。適度な運動と組み合わせることで、さらに良い効果が期待できます。KAIZEN TRIGGERのカイロプラクティックやパーソナルトレーニングは、栄養面での助言と連動させることが重要です。食事、運動、休養などの生活習慣を包括的に改善することで、健康リスクを最小限に抑えることができます。
  3. 最新のエビデンスに基づいた指導を心がける
    超加工食品と健康との関連については、まだ未解明の部分が多く残されています。本研究に続き、今後も研究が重ねられていくことが予想されます。KAIZEN TRIGGERでは、最新の科学的根拠に基づいて運営方針を常に見直し、より良い指導ができるよう努めることが求められます。

近年の先行研究の知見から、超加工食品の過剰摂取は健康への悪影響が懸念されており(Elizabeth et al, 2020)、代替え案としてミニマリープロセシングフードの摂取が推奨されています(Oliveira et al, 2022)。一方で、低加工食品が必ずしも高栄養であるわけではなく(Monteiro et al, 2018)、単に加工度のみに着目するのではなく、栄養バランスを重視する必要があることも指摘されています(Jones, 2019)。

このように、超加工食品と健康の関係は複雑であり、最新の研究動向を注視しながら、バランスの良い食生活と運動習慣の双方を推奨することが大切です。KAIZENTRIGGERがリーディングカンパニーとして信頼されるためには、科学的根拠に基づいた適切な指導を続けることが何より重要といえるでしょう。

参考文献:
Zhe Fang et al. "Ultra-processed Food Intake and Risk of All-Cause and Cause-Specific Mortality: Prospective Cohort Study of Up to 34 Years of Follow-up." BMJ 377 (2024): e071379.

Elizabeth L et al. "Ultra-Processed Diets and Obesity" Current Obesity Reports 9.4 (2020): 496-505.

Oliveira MSV et al. "Minimally Processed Diet: A Complementary Approach to Healthy Eating" Nutrients 14.13 (2022): 2760.

Monteiro CA et al. "The UN Decade of Nutrition, the NOVA food classification and the trouble with ultra-processing." Public Health Nutrition 21.1 (2018): 5-17.

Jones J. "Food processing: factoring facts, not fears, into the debate." CEREAL FOODS WORLD 64.5 (2019).