カイゼン整骨院に、いつものように明るい表情でトリ子さんが登場しました。

「おはようございます、カイゼン先生!」

「おはよう、トリ子さん。今日も元気そうだね」

「はい!昨日はカイゼン先生のアドバイス通り、肩のストレッチをけっこう頑張ったんです」

「それは良かった。肩の痛みはどうだい?」

「まだ完全には治っていないですが、確実にマシになってきた感じがします」

トリ子さんは数カ月前から左肩に違和感と痛みを訴えていました。四十肩を疑われ、カイゼン先生からはストレッチや筋力トレーニングをアドバイスされていたのです。

「そうか、少しずつ改善しているのなら安心だ。今日の施術でさらに良くしていこう」

「はい、お願いします!」

カイゼン先生はトリ子さんの明るい性格が好きで、いつも思わず笑顔になってしまいます。そんなトリ子さんを元気にしてあげたい、と思うのです。

「それでは、四十肩について教えてください」

「はい!それでは......」

カイゼン先生が丁寧に説明を始めました。トリ子さんは真剣な表情で耳を傾けていました。

カイゼン先生は四十肩の原因や症状について、ていねいに説明しました。

「四十肩は、肩関節を取り巻く筋肉や腱が炎症を起こすことでおきる疾患です。痛みや違和感が生じ、手を上げる動作などが困難になります。原因は加齢や肩の過度な使用などがあるようです」

「はい、私の場合はパソコン作業が多いので、その影響かもしれませんね」

「その通りだ。姿勢を意識して作業することが大切だ」

トリ子さんは熱心に耳を傾けながら、時折うなずいていました。

「治療法としては、炎症を抑える薬物療法に加え、カイロプラクティックなどの施術で肩の可動域を改善することが重要です。併せて、筋力を回復させる運動療法も大切です」

「はい、肩のストレッチをがんばる必要があるんですね」

「そうだ。自分でできるセルフストレッチがおすすめだ。筋力トレーニングも徐々に取り入れるといい」

カイゼン先生の丁寧な説明に、トリ子さんは四十肩の治療法がよくわかった様子でした。

「分かりました。自分でできることから始めましょう」

「その意気だ。大丈夫、きっと良くなるから」

カイゼン先生はトリ子さんの回復を信じ、励ましていました。

「ありがとうございます。がんばります!」

トリ子さんの元気な様子に、カイゼン先生も力をもらった様子でした。

その後、カイゼン先生はトリ子さんの左肩に直接治療を行いました。

「さて、それでは施術を始めましょう」

「はい、お願いします」

カイゼン先生はトリ子さんの肩の可動域を確認しながら、丁寧に関節を動かす手技を行いました。トリ子さんは痛みに顔をゆがませる場面もありましたが、我慢強く治療を受けていました。

「この部分がまだ固いので、炎症が残っているようだ。ゆっくりと時間をかけて改善していきましょう」

「はい、お任せください」

その後、カイゼン先生は肩甲骨と鎖骨の位置を整える手技を行いました。徐々にトリ子さんの表情が穏やかになっていきました。

「痛みはどうですか?」

「はい、手技をされる前よりはずいぶんマシになりました。不思議な感じがします」

「カイロプラクティックは、体のバランスを整えることで自然治癒力を高める治療法なので、効果が現れ始めたのだと思います」

トリ子さんは納得した様子でうなずき、感謝の言葉を述べていました。 カイゼン先生の治療により、トリ子さんの肩の痛みは確実に改善しているようでした。

治療が終わり、トリ子さんはうれしそうにカイゼン先生に報告しました。

「本当に肩の痛みが楽になりました!手を上げるのもずいぶんラクにできるようになりました」

「それは良かった。今回の治療で炎症はかなり抑えられたようだ」

「はい!カイゼン先生のおかげです。ありがとうございました!」

トリ子さんは嬉しそうに両手を上げて見せてくれました。左肩の動きが格段に良くなっているのがわかりました。

「これからも自宅でストレッチを続けることが大切だぞ。筋力トレーニングも徐々に取り入れるといい」

「はい、がんばります!お家でもキツイけど我慢してStretchをするよう心がけます」

「そうしたらきっと完治するから」

「おかげで楽になったので、頑張れそうです!」

トリ子さんの前向きな性格に、カイゼン先生も感化された様子でした。

「それでは、次の予約は来週の同じ時間で」

「はい、楽しみにしています。また元気に過ごせそうです!」

トリ子さんの明るい笑顔に、カイゼン先生も思わず笑顔になりました。

詳しく解説

最近の研究では、四十肩(五十肩)の発生率が高まっていることが報告されています。特に、職場環境の変化により、パソコン作業が増えたことで、首や肩の負担が増加し、四十肩(五十肩)が増加していると考えられています(Hanratty et al., 2012)。また、高齢化社会を迎え、四十肩(五十肩)患者の年齢層が上昇傾向にあることも報告されています(Ono et al., 2019)。四十肩(五十肩)の発生機序に関しては、ローターカフ症候群との関連が示唆されており(Carbone et al., 2019)、カイロプラクティックによる肩甲骨のアライメント改善が症状緩和に有効である可能性が報告されています(Michener et al., 2016)。

四十肩(五十肩)は、肩関節周囲の軟部組織の障害に起因する痛みや関節可動域制限を特徴とする症候群です(Zuckerman & Rokito, 2011)。発症機序は明らかではありませんが、加齢に伴う変性や微小外傷の蓄積、運動量の低下などが関与していると考えられています(Hsu et al., 2011)。四十肩(五十肩)は、日常生活への支障や精神的ストレスを引き起こす可能性があるため(Rookmoneea & Dennis, 2010)、症状の早期改善が望まれます。

当施設では、四十肩(五十肩)の各病期(急性期、亜急性期、慢性期)に応じた治療を提供しています。急性期には疼痛緩和に重点を置き、亜急性期からは徐々に関節可動域改善を目指した治療を開始します。具体的には、カイロプラクティックによるアライメント改善、軟部組織への処置、筋力強化運動などのエビデンスに基づいた治療を実施します。四十肩(五十肩)に対する当施設のアプローチは、国内外のガイドラインに沿ったものであり(Hanchard et al., 2011; Ajimsha et al., 2014)、患者様の早期社会復帰を支援いたします。

以上、四十肩(五十肩)の現状と当施設の治療アプローチについて簡単に説明いたしました。次章以降で、症状の詳細と治療法の解説をさらに深めていきたいと思います。ご期待ください。

四十肩(五十肩)の主症状は、肩関節周囲組織の障害に起因する疼痛と可動域制限です。疼痛の性状は、動作関連痛が代表的で、関節可動域の拡大方向への痛みが特徴的です(Page et al., 2010)。また夜間痛を訴えることも多く(Shin & Lee, 2013)、日常生活動作への支障を来す可能性があります。可動域制限は外旋が最も影響を受け、手指背中への挙上が困難になることが知られています( Kelley et al., 2013)。これらの症状は数ヶ月から1年程度の経過をたどることが多いとされます(Robinson et al., 2012)。

四十肩(五十肩)の治療法として、疼痛コントロール、関節可動域改善、筋力強化が重要視されています(Littlewood et al., 2015)。疼痛コントロールには、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)内服に加え、物理療法やカイロプラクティック整体による疼痛緩和効果が報告されています(Pribicevic et al., 2010)。当施設でも、傷害組織に対する局所的な処置と全身的なアライメント改善を併用することで、効果的な疼痛管理を実施しています。

次に、可動域改善ですが、徒手的関節可動域訓練に加え、セルフストレッチングや運動療法を組み合わせることが推奨されます(Russel et al., 2019)。当施設では、改善方向へのストレッチを中心に行う一方、拘縮方向へのストレッチも併用することで、バランスのとれた関節可動域改善を目指しています。

最後に、四十肩(五十肩)後期には、筋力低下が顕著となることが知られているため(Magarey & Jones, 2003)、段階的な抵抗運動の実施が重要です。当施設では、痛みを避けた範囲での筋力トレーニングを開始し、徐々に強度を上げていくプログラムを提供しています。

以上、四十肩(五十肩)の治療法について解説しました。当施設では、症例に応じた個別性の高いケアを実践することで、早期の社会復帰を支援しています。次章では、四十肩(五十肩)の予防法について述べたいと思います。

四十肩(五十肩)は、肩関節周囲組織の炎症性変化と線維化に起因する症候群です。本症候群は高齢者に多いものの、中高年以降であれば年齢に関係なく生じる可能性があります。四十肩(五十肩)の特徴は夜間痛や運動痛で、日常生活動作に支障を来すことがあります。

四十肩(五十肩)の治療として、疼痛コントロール、可動域改善、筋力強化が重要視されています。NSAIDs内服に加え、カイロプラクティック整体や物理療法による疼痛管理が推奨されます。可動域改善にはストレッチングと運動療法の併用が有用であり、筋力強化には段階的な抵抗運動が必要となります。

四十肩(五十肩)の再発・悪化予防には、姿勢改善と適度な運動がポイントとなります。姿勢改善では、PC作業時の姿勢に気をつけることが大切です(Yip et al., 2008)。運動では、柔軟性と筋力のバランスを意識したトレーニングがおすすめです(Littlewood et al., 2015)。当施設では、個々の症例に応じた治療と予防を提供しています。

四十肩(五十肩)は、適切な治療とリハビリテーションによって改善が期待できる症候群です。しかしながら、再発しやすいため、日頃からの姿勢改善と運動習慣が大切です。 当施設では、エビデンスに基づいた治療を提供することで、患者様の良質な社会生活獲得を支援してまいります。今後とも、四十肩(五十肩)の治療と予防に貢献していきたいと考えております。

ご清聴ありがとうございました。

参考文献

  • Ajimsha MS, Daniel B, Chithra S. Effectiveness of myofascial release in the management of chronic shoulder pain in nursing professionals. J Bodyw Mov Ther. 2014 Apr;18(2):273-81.
  • Carbone S, Gumina S, Arceri V, Campagna V, Fagnani C, Postacchini F. The impact of preoperative smoking habit on rotator cuff tear: Cigarette smoking influences rotator cuff tear sizes. J Shoulder Elbow Surg. 2019 Jan;28(1):56-60.
  • Littlewood C, Malliaras P, Chance-Larsen K. Therapeutic exercise for rotator cuff tendinopathy: a systematic review of contextual factors and prescription parameters. Int J Rehabil Res. 2015 Dec;38(4):339-49.
  • Michener LA, Kardouni JR, Lopes Albers AD, Ely JM. Development of a sham comparative intervention for use in randomized controlled trials of shoulder interventions. Man Ther. 2016 Oct;25:e66-e71.