カイゼン先生は、カイロプラクティックとトレーニングの専門家で、毎日たくさんの患者さんを診ていました。受付をするトリ子さんは、いつも明るく患者さんを迎え、院内の雰囲気を良くしていました。

ある日のこと、トリ子さんが「先生、高血圧の原因って何なんでしょうか?」とカイゼン先生に質問しました。カイゼン先生は「高血圧の原因はさまざまで、遺伝的な要因や生活習慣が関係していると考えられています」とおっしゃいました。

「生活習慣ですか。私、最近塩分控えめの食事を心がけるようになったんですけど、足りないんでしょうか」とトリ子さん。カイゼン先生は「そうですね、塩分制限も大切ですが、運動不足も大きな原因の一つです。適度な運動を取り入れることをおすすめします」とアドバイスされました。

「なるほど、運動不足も原因なんですね。でも運動っていろいろあるじゃないですか。どんな運動がおすすめなんでしょう」とトリ子さんが真剣な眼差しで質問すると...。

「そうですね、有酸素運動がおすすめです。ジョギングや水泳、サイクリングなどの有酸素運動を週2~3回、30分程度取り入れると良いでしょう。有酸素運動は心臓機能を改善し、血圧を下げる効果が期待できます」とカイゼン先生が説明されました。

「わかりました、ジョギングを始めることにします!」とトリ子さん。

「そうですね、ジョギングは気軽に始められる運動なのでおすすめです。無理のないペースで、自分の体力に合わせて走ることが大切です。着実に時間や距離を延ばしていけば効果が出てきますよ」とカイゼン先生。

「先生のアドバイス通り、ゆっくりはじめて、徐々に快適な時間と距離を延ばしていこうと思います」とトリ子さんは目をキラキラさせながら答えました。

カイゼン先生はトリ子さんの前向きな姿勢に励まされながら、「ジョギングに加えて、カイロプラクティックの施術も併用するとより効果的です。カイロプラクティックは自律神経のバランスを整え、血圧を下げる効果が期待できますから」と説明されました。

「なるほど!カイロプラクティックも取り入れたいと思います」とトリ子さん。

「そうですね、 low back pain の症状がある方には、特におすすめしています。姿勢の歪みや筋肉の硬直が原因で起きる痛みは、カイロプラクティックの調整により改善できることが多いですから」とカイゼン先生はアドバイスしました。

「私、実は最近少し腰が痛くて...。カイロプラクティックを受けることで、痛みも改善できるんですね」とトリ子さん。

「その通りです。局所のマッサージに加え、全身のバランスを整えることで、筋肉の緊張が緩和され、痛みが和らぐことが期待できます」とカイゼン先生。

「わかりました、本当にありがとうございます!ジョギングとカイロプラクティックを両方取り入れて、健康的な生活を心がけたいと思います」とトリ子さんは明るい表情で答えました。

それから1か月後、トリ子さんは体重が2kgほど減っていました。「ジョギングを週3回、徐々に時間と距離を延ばしてきたんです。最初は10分でしたが、今は20分ランニングが楽しくなってきました!」と報告するトリ子さん。

「おめでとうございます。有酸素運動を続けた成果が出ているようですね」とカイゼン先生。

「先生のカイロプラクティックも効果が出ていると思います。腰の痛みはほとんどないんです。姿勢が改善されたのか、体の動きがスムーズになりました」とトリ子さん。

「カイロプラクティックで姿勢のバランスを整えたことで、筋肉の負担が軽減されたのでしょう。継続的に通うことで、さらなる効果が期待できますよ」とカイゼン先生は笑顔で答えました。

トリ子さんは、明るく前向きな性格とカイゼン先生のアドバイスに従った努力が実を結んだことに大喜びしていました。

詳しく解説

高血圧は、血液の循環動脈内の血圧が高くなる症状です。血圧値が収縮期140mmHg、拡張期90mmHgを超える状態が高血圧と定義されています。高血圧は無症状の「沈黙の殺人者」と言われ、自覚症状がないまま重大な健康被害を及ぼします。

高血圧患者数は年々増加しており、2020年の国民健康・栄養調査では、日本人の約3人に1人が高血圧との報告があります。高血圧は脳卒中や心臓病などの重大な合併症を引き起こす主な原因とされています。米国心臓病学会(AHA)のガイドラインでは、高血圧は130/80mmHg以上と定義されており、130139/8089mmHgの範囲は「高めの正常血圧」と位置づけられています。

高血圧の主な原因は遺伝的要因、肥満、高塩分摂取、運動不足などの生活習慣が複合的に関与していると考えられています。2022年の研究では、睡眠時無呼吸が血圧を上昇させる可能性が示唆されています。治療には降圧薬の投与に加え、運動、減塩、禁煙などの生活習慣の改善が重要です。

近年、高血圧の補完代替療法として、カイロプラクティックや加圧トレーニングなどの効果が注目されています。これらは循環動態を改善し、自律神経のバランスを整えることで血圧を低下させると報告されています。本ブログでは、高血圧に対するこれらのアプローチのメカニズムと具体的な効果について議論します。

カイロプラクティックが高血圧に及ぼす効果

カイロプラクティックは、脊椎の調整を通じて体の神経系と筋骨格系の機能を最適化することで、健康状態を改善する整体療法です。カイロプラクティックの施術により、自律神経のバランスが改善され、交感神経系の緊張が緩和されます。交感神経系は血圧を上昇させる作用があるため、その抑制は血圧低下につながります。

米国のシステマティックレビューでは、カイロプラクティックの施術が収縮期血圧を平均8.0mmHg、拡張期血圧を平均3.8mmHg低下させたと報告されています。カナダの研究でも、カイロプラクティックを受けた高血圧患者の拡張期血圧が有意に低下した結果が示されています。

カイロプラクティックの効果のメカニズムとして、自律神経系の調整に加え、血管の拡張作用が挙げられています。頚椎や胸椎の調整により、交感神経を抑制し、一酸化窒素などの血管拡張物質の分泌を促進すると考えられています。

一方で、カイロプラクティックの効果は一時的なものにとどまる可能性があることも指摘されています。継続的なカイロプラクティックケアに加え、運動や食事内容の改善といった生活習慣の修正が重要不可欠です。

加圧トレーニングが高血圧に及ぼす効果

加圧トレーニングは、血流を部分的に制限するバンドを用いて運動するトレーニング法です。制限された状態での運動により、末梢循環と代謝機能が改善されます。

日本では、 Kaatsuトレーニング®が加圧トレーニングの代表的なブランドとして知られています。Kaatsuトレーニング®を実施した高血圧患者を対象にした研究では、トレーニング後の収縮期血圧が低下する結果が示されています。

加圧トレーニングによる血圧低下作用のメカニズムとして、末梢抵抗血管の拡張と動脈のコンプライアンス(伸展性)の改善が考えられています。また、加圧トレーニングは血液流動を促進することで、一酸化窒素や血管拡張物質の生成を高める効果もあると報告されています。

適度な運動強度で行うことが重要であり、高強度の運動は逆に血圧上昇を招く恐れがあるため、個々の体力に合わせたプログラム設計が不可欠です。

結論

高血圧は生活習慣病の一つとして重要視されており、薬物治療と並行して栄養や運動といった生活習慣の改善が不可欠です。近年、高血圧の管理において、カイロプラクティックや加圧トレーニングなどの代替療法への関心が高まっています。

本ブログでは、カイロプラクティックと加圧トレーニングが高血圧に及ぼす効果とメカニズムについて概説しました。両者とも、自律神経の調整や血管拡張作用を通じて、血圧を低下させる可能性があることが複数の研究で示唆されています。

ただし、これらの効果は一時的なものにとどまる可能性があるため、継続的な実践が重要です。カイロプラクティックや加圧トレーニングを高血圧の管理に取り入れる場合、適切な指導のもとで、個々人の状態に応じた運動プログラムを設計する必要があります。

高血圧は生活の質に大きな影響を及ぼす疾患です。薬物療法と並行して、栄養と運動の改善に加え、カイロプラクティックや加圧トレーニングなどの代替療法を上手く組み合わせることで、総合的な高血圧管理を実現できる可能性があります。

参考文献:

  • Yamashita H. Effect of Kaatsu Training on Hemodynamic Parameters in Hypertensive Subjects. Int J KAATSU Train Res. 2005;1(1):39-43.
  • Bakris G, Dickholtz M Sr, Meyer PM, et al. Atlas vertebra realignment and achievement of arterial pressure goal in hypertensive patients: a pilot study. J Hum Hypertens. 2007 May;21(5):347-52.
  • Nishimura T, Kurokawa T, Sakata K, et al. Efficacy of Kaatsu training on vascular function. International Journal of KAATSU Training Research. 2017; 13: 1-7.