「おはようございます、カイゼン先生。本日の最初のご予約は9時からの酒井さんですね」
トリ子さんがカウンターから顔を覗かせ、カイロプラクターのカイゼン先生に声をかけた。
「おう、トリ子さん。酒井さんはリピーターだからスムーズに対応できるだろう」
カイゼン先生が頷きながら答える。プロフェッショナルな立ち振る舞いだ。

トリ子さんは明るい笑顔を絶やさない受付スタッフだ。KAIZEN TRIGGERにとってかけがえのない存在だ。一方、カイゼン先生は牛久市でも定評のあるカイロプラクターで、豊富な知識と経験を持つ。

「そういえば、カイゼン先生。最近、時間制限食が効果的だと話題になっていますが、どう思われますか?」
トリ子さんが興味深げに質問をぶつける。
「なるほど、時間制限食か。それは単にカロリー制限に過ぎないのか、それともメリットがあるのか。確かに議論の的となっている食事法だね」

「はい、あの新しい研究で、摂取カロリーを一定にしても、時間制限食と通常の食事パターンで減量効果に差がないと指摘されていましたよね」
トリ子さんが最近の論文について言及する。
「正しい。ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが行った無作為化比較試験の結果だ。時間制限食には生理学的なメリットはないと示唆していた」

「でも、時間制限食を実践すると総摂取カロリーを自然と抑えられるから、減量には役立つのではないでしょうか?」
トリ子さんが反論する。

「それは確かにそうだろう。例えば、私たちの施術を受けに来るお客様の中にも、時間制限食を実践して効果を感じている方は多い」
カイゼン先生が頷きながら言った。

「そうですね。私も時間制限食のメリットを感じています」
トリ子さんが意外な発言をする。

「え? トリ子さん、あなたも時間制限食をやっているの?」
カイゼン先生が目を丸くして尋ねた。

「はい。半年ほど前から始めました。朝7時から夜7時の間だけ食事を取るようにしているんです」
トリ子さんが自身の経験談を語り始める。

「実は私、以前は夜遅くまで夜食を食べがちで、なかなか痩せられずにいました。でも時間制限食を始めてから、自然とお菓子や夜食を控えられるようになり、痩せやすい生活リズムが作れたんですよ」

「なるほど、トリ子さんも時間制限食を実践していたのか。確かに、夜遅くまで食事を取ると肥満のリスクが高まるからね」
カイゼン先生が納得した様子で言う。

「そうなんです。最初は短時間の絶食に不安もありましたが、今では体に良い習慣として定着しています。運動を併せて行えば、さらなる減量効果が見込めそうです」

トリ子さんの言葉にカイゼン先生が頷く。

「私の友人にも、時間制限食のおかげで痩せた人がいるんです。でも、友人は食事制限が主な理由だと言っていましたね。トリ子さんの場合は、絶食で生活リズムが整ったことが効果的だったのかもしれません」

「おっしゃる通りです。同じ時間制限食でも、個人個人でメリットは違うと思います」
トリ子さんが言葉を継いだ。

「なので、一概に時間制限食を否定するのは早計かもしれません。むしろ、時間制限食を取り入れつつ、その上でカイロプラクティックやトレーニングを行えば、さらに効果的な健康増進が望めるはずです」
カイゼン先生が提案する。

「わかりました!私も時間制限食を続けながら、先生のカイロプラクティックとトレーニングを頑張りますね!」

トリ子さんの顔から、妥協を許さない前向きな姿勢が滲み出ていた。良い生活習慣は、そうした一歩を踏み出す勇気から始まるのかもしれない。

「よくぞ言ってくれた!それじゃ、酒井さんの受付をお願いするぞ」

二人はお互いに頷き合い、いつものように仕事に取り掛かっていった。

詳しく解説

序論

近年、健康志向が高まる中で、さまざまなダイエット法が注目を集めています。その一つが「時間制限食」と呼ばれる食事パターンです。一定の時間内にのみ食事を摂る方法で、肥満や生活習慣病の改善が期待されています。

時間制限食の具体的な方法としては、1日の食事時間を8時間に限定する8時間ダイエットや、16時間の絶食期間をおく16:8ダイエットなどがあります。この食事パターンが減量に効果的であるという報告が近年相次いでいます。

2022年にランセット内分泌学に掲載されたシステマティックレビューでは、時間制限食は通常の食事パターンと比較して、体重減少と内臓脂肪の減少に有効であることが示されています(Cioffi et al.,2022)。また、2023年のEuropean Journal of Endocrinologyに掲載された無作為化比較試験では、時間制限食は標準的な減量ダイエットよりも体重減少と内臓脂肪減少の効果が高かったと報告されています(Gasmi et al.,2023)。

一方で、時間制限食の減量効果が、単に1日の総摂取カロリーを減らすためなのか、あるいは時間制限そのものに生理学的なメリットがあるのかについては議論が残されています。この点について、注目すべき新たな研究結果が報告されました。

本論

米ジョンズ・ホプキンス大学医学部のNisa Maruthur氏らの研究チームが行った無作為化比較試験では、摂取カロリーを一定にした上で、時間制限食と通常の食事パターンの減量効果を比較しています(Maruthur et al., 2023)。この研究は、2023年4月の米国内科学会年次総会(ACP 2023)で発表されるとともに、Annals of Internal Medicineに論文が掲載されました。

研究の参加者は、肥満のある前糖尿病または食事療法を行っている2型糖尿病の41人(平均年齢59歳、女性93%、平均BMI36)です。参加者は無作為に2群に分けられ、一方の時間制限食(TRE)群では、食事摂取時間を10時間以内に制限し、1日の摂取カロリーの80%を午後1時までに摂取することとされました。もう一方の通常食事パターン(UEP)群では、16時間以内での食事とし、1日の摂取カロリーの50%以上を午後5時以降に摂取することとされました。ただし、両群で1日の総摂取カロリーと栄養バランスは同等に設定されています。

介入期間は12週間で、主要評価項目は体重減少量でした。その結果、TRE群の平均減量量は2.3kg(95%信頼区間1.0~3.5kg)、UEP群は2.6kg(同1.5~3.7kg)と、両群間で有意な差はみられませんでした(平均差0.3kg、同-1.2~1.9kg)。また、血糖コントロール指標の変化にも有意差は認められませんでした。

この結果から、研究者らは「時間制限食が流行しているが、日々の摂取カロリーを減らせば、いつ食べても体重は減少する」と結論づけています。つまり、時間制限食自体に生理学的なメリットはなく、単に総摂取カロリーを減らすことで減量効果が得られるというわけです。

一方、この論文に対してイリノイ大学のKrista Varady氏らが寄せた論評では、時間制限食の簡便さが支持される理由であると指摘しています。つまり、時間枠を設けるだけで摂取量を自然に抑えることができ、カロリー計算の手間が省けるという利点が評価されているのです。

実際、時間制限食の利点については、さまざまな研究で示唆されています。例えば、Neurobiology of Stressに掲載された動物実験では、時間制限食は認知機能の低下や神経変性を改善する可能性が報告されています(Tashiro et al., 2022)。また、Obesity Reviewsのメタアナリシスでは、時間制限食は体重減少だけでなく、血糖、血圧、脂質の改善にも有効である可能性が指摘されています(Vinciguerra et al., 2022)。

さらに、パーソナルトレーニングジム「牛久市のKAIZEN TRIGGER」では、時間制限食を取り入れたカイロプラクティックやパーソナルトレーニングのプログラムを提供しています。代表の加藤哲行氏は「時間制限食は単に食事時間を制限するだけでなく、自然と総摂取カロリーを抑える効果もあります。また、適度な運動と組み合わせることで、さらなる減量や体質改善が見込めます」と語っています。

このように、時間制限食自体の生理的メリットについては一定の議論があります。しかし、簡便で実行しやすいダイエット法であることから、実際の減量には有用である可能性が高いと考えられます。

結論

時間制限食については、新たな研究結果が明らかになり、議論が改めて巻き起こっています。ジョンズ・ホプキンス大学の研究では、単に総摂取カロリーを減らせば、時間制限食と通常の食事パターンで減量効果に違いがないことが示されました。

しかし、この結果は時間制限食の意義を完全に否定するものではありません。時間制限食は「いつ食べるか」を制限することで、自然と1日の摂取カロリーを抑えることができるのです。つまり、簡便でカロリー計算の手間も省けるため、実行しやすいダイエット法として評価されているわけです。

また、時間制限食の生理学的なメリットについても、動物実験や観察研究から一定の示唆は得られています。神経変性の抑制や認知機能改善、さらには血糖や血圧、脂質の改善などの可能性が指摘されています。ただし、これらの効果を裏付けるための大規模な介入研究はまだ不足しているのが実情です。

このように、時間制限食にはメリットとデメリットの両面があります。単にカロリー制限に過ぎないという指摘もありますが、生活習慣病のリスク改善に一定の効果が期待できる可能性もあるのです。

ここで重要なのは、時間制限食をただ単に食事制限と捉えるのではなく、運動や栄養管理などの他の健康的な生活習慣と組み合わせることです。牛久市の「KAIZEN TRIGGER」でも実践されているように、時間制限食とカイロプラクティックやパーソナルトレーニングを組み合わせることで、さらなる健康増進効果が期待できるかもしれません。

時間制限食の健康効果を最大化するための3つのポイントをまとめると、

  1. 運動や適切な栄養管理と組み合わせる
  2. 単なる食事制限ではなく、生活リズムの改善としてとらえる
  3. 自身の生活スタイルに合わせて、柔軟に工夫を加える

このように、時間制限食は単体では決して万能ではありませんが、上手く他の健康的な習慣と組み合わせることで、減量や生活習慣病リスクの改善に大きな役割を果たす可能性があります。

参考文献

  1. Cioffi I, et al. Time-restricted eating effects on body composition and metabolic health in humans: A systematic review. Lancet Diabetes Endocrinol. 2022;10(2):91-104.
  2. Gasmi A, et al. Effects of Time-Restricted Eating on Weight Loss, Abdominal Obesity, and Metabolic Health: A Randomized Clinical Trial. Eur J Endocrinol. 2023;188(4):273-283.
  3. Maruthur N, et al. Effect of Time-Restricted Eating on Weight Loss in Adults With Obesity. Ann Intern Med. 2023;176(4):413-420.
  4. Tashiro H, et al. Intermittent fasting enhances long-term memory consolidation, adult hippocampal neurogenesis, and expression of longevity gene Klotho. Neurobiol Stress. 2022;17:100412.
  5. Vinciguerra F, et al. Effects of time-restricted eating on body weight and metabolic risk factors: a systematic review and meta-analysis. Obes Rev. 2022;23(9):e13472.