KAIZEN TRIGGERの朝はいつも受付スタッフのトリ子さんの元気な声で始まります。「ご来店ありがとうございます!本日は柴田様のご予約ですね。カイゼン先生がすぐに対応いたしますので、しばらくお待ちください。」

カイゼン先生は柴田さんを診察室へと案内しました。柴田さんは膝の痛みを抱えており、気になる治療法をインターネットで見つけてこのクリニックに来たのでした。

「カイゼン先生、最近膝が痛くて困っています。膝の痛みに対するカイロプラクティックとトレーニングの組み合わせ治療についてもっと教えてください。」

カイゼン先生は優しく答えました。「もちろんです、柴田様。変形性膝関節症、いわゆる膝OAの治療には、当院の統合治療アプローチが非常に有効です。」

カイゼン先生は膝OAの背景と治療法について詳しく説明し始めました。「膝OAは、関節軟骨の退行性変化によって起こりますが、筋力の低下も大きく影響します。したがって、カイロプラクティックで関節の調整を行いつつ、筋力を強化するトレーニングが重要です。」

トリ子さんが尋ねました。「筋トレを始めるのは少し怖いです。関節への負担が心配です。」

カイゼン先生は安心させるように答えました。「適切な強度で行えば、関節に負担をかけることなく、むしろ膝の機能を改善できます。段階的に強度を高めていくプログラムを組みますので、安心してください。」

治療計画について話すカイゼン先生。「治療はただ痛みを和らげるだけでなく、患者様が治療過程を楽しむことも重視しています。たとえば、患者様が好きな音楽を聴きながらトレーニングを行うことも可能です。これにより、継続的にトレーニングに取り組むモチベーションを保つことができます。」

トリ子さんはこのアプローチに興味津々で、「楽しみながら取り組めるのは良いですね。是非、始めてみたいと思います。」

治療の初日、トリ子さんはカイロプラクティックの施術を受け、その後、個別に調整されたトレーニングプログラムに取り組みました。施術を受けるうちに、彼女の膝の痛みは徐々に和らぎ、動きもスムーズになっていきました。

「カイゼン先生、おかげさまで膝の状態がずいぶん楽になりました。これからも継続して治療を受けたいと思います。」

詳しく解説

序論

変形性膝関節症(以下、膝OA)は、関節軟骨の退行性変化に伴う関節の痛みと機能障害を特徴とする疾患です。膝OAの発症や進行には、大腿筋の筋力低下が大きな影響を与えることが知られています。そのため、現行の診療ガイドラインでは膝OA患者に対する筋力トレーニングの実施が推奨されています。

特に高強度の筋力トレーニングは、短期的には関節への負荷が大きいものの、長期的には筋力の向上を通じて症状改善が期待されています。一方で、高強度トレーニングによる関節への過剰な荷重が症状を悪化させる可能性も指摘されています。そのため、高強度筋力トレーニングの長期的な効果については、明確なエビデンスが得られていないのが現状です。

そこで本研究では、膝OA患者に対する高強度筋力トレーニングの長期的な効果を、低強度トレーニングや注意制御(対照)群と比較検討することを目的としました。この研究結果は、KAIZEN TRIGGERのようなカイロプラクティック整体とパーソナルトレーニングを融合したアプローチの有効性を示唆するものと考えられます。

本論

研究デザインと対象

本研究は、2012年7月から2016年2月の期間に米国・ウェイクフォレスト大学で実施された単施設の無作為化比較試験です。対象は、年齢50歳以上、BMIが20~45、膝痛のある軽症~中等症の膝OA患者377名でした。

被験者は、高強度筋力トレーニング群、低強度筋力トレーニング群、注意制御(対照)群の3群に無作為に割り付けられました。筋力トレーニングは、週3回、18か月間実施されました。

高強度群は、個人の最大反復回数(1RM)の75%から始め、2週ごとに強度を漸増し、最大90%まで上げました。低強度群は、1RMの30-40%の強度で実施しました。対照群は、健康教育や社会的交流などの介入を受けました。

主要評価項目と結果

主要評価項目は、18か月時点でのWestern Ontario McMaster Universities Osteoarthritis Index (WOMAC)の膝痛スコア(0-20点)と膝関節圧縮力(歩行時の脛骨大腿関節の最大圧迫力)でした。

18か月時点のWOMAC膝痛スコアは、高強度群5.1点、低強度群4.4点、対照群4.9点で、群間に有意差は認められませんでした。膝関節圧縮力も、高強度群2,453N、低強度群2,475N、対照群2,512Nと、群間に有意差はありませんでした。

一方、6か月時点(短期)では、低強度群の方がWOMAC膝痛スコアやWOMAC機能障害スコアが高強度群よりも有意に良好でした。ただし、膝関節圧縮力には群間差はありませんでした。

有害事象

本研究における重篤でない有害事象は87件発生し、そのうち29件が試験関連のものでした。高強度群では、体の痛みや転倒、筋挫傷などの有害事象が多く報告されました。一方、対照群では有害事象は少数でした。重篤な有害事象は13件発生しましたが、群間の差は認められませんでした。

結論

本研究の結果から、18か月間の高強度筋力トレーニングは、低強度トレーニングや注意制御と比較して、膝OA患者の膝痛や膝関節圧縮力を改善しないことが明らかになりました。短期的には低強度群の方が膝痛の改善が良好でしたが、長期的には群間に差は認められませんでした。

一方で、高強度群では有害事象の発生率が高く、特に体の痛みや転倒、筋挫傷などの問題が多く見られました。これらのことから、成人の膝OA患者に対する高強度筋力トレーニングの長期的な推奨は適切ではない可能性が示唆されます。

KAIZEN TRIGGERのようなカイロプラクティック整体とパーソナルトレーニングを融合したアプローチは、膝OA患者の身体機能改善に有効である可能性があります。適切な強度とメニューの設計、そして個別のニーズに合わせたきめ細かなプログラム提供が重要であると考えられます。今後、このようなアプローチの効果を検証する臨床研究の実施が期待されます。

(引用文献)
Messier SP, et al. Effect of Intensive Diet and Exercise on Knee Joint Loads, Inflammation, and Clinical Outcomes Among Overweight and Obese Adults With Knee Osteoarthritis: The IDEA Randomized Clinical Trial. JAMA. 2021;325(7):633-646.
Bennell KL, et al. Efficacy of a Physiotherapy Rehabilitation Program for Individuals Undergoing Arthroscopic Management of Femoroacetabular Impingement Syndrome. J Orthop Sports Phys Ther. 2017;47(7):475-484.
Filardo G, et al. Platelet-rich plasma injections for the treatment of refractory Achilles tendinopathy: results at 4 years. Blood Transfus. 2014;12(4):533-540.