「カイゼン先生、前回話していた筋硬膜橋って何ですか?カイロプラクティックと関係あるんですか?」とトリ子さんが受付カウンターを磨きながら、KAIZEN TRIGGERの院長、カイゼン先生に尋ねました。
カイゼン先生はコンピュータから顔を上げ、優しく微笑みました。「ああ、Myodural Bridgeのことですね。実は頭痛や首の痛みに深く関わる、とても重要な解剖学的構造なんですよ」
「へえ、初めて聞きました!」トリ子さんは興味津々で手を止めました。
「簡単に言うと、後頭部の深い筋肉と、脳や脊髄を包む硬い膜(硬膜)をつなぐ橋渡しのような組織なんです。この構造が正常に機能していないと、頭痛や首の痛み、さらには自律神経の問題まで起こる可能性があるんですよ」カイゼン先生はホワイトボードを取り出し、簡単なイラストを描き始めました。
「では、そこに問題があると頭痛が起きるんですか?」
「その通りです。特に頸原性頭痛といって、首から来る頭痛には深く関わっています。例えば、長時間のデスクワークやスマホの使いすぎで後頭部の筋肉に過度な緊張が生じると、その張力が筋硬膜橋を通して硬膜に伝わり、頭痛や首の痛みを引き起こすんです」
トリ子さんは自分の首筋に手を当て、「私、最近よく頭が重いんです。これも関係あるかもしれませんね」と言いました。
「可能性はありますね。実は今度のブログでこのテーマについて詳しく書こうと思っていたところです。この筋硬膜橋という構造は、頭を動かすたびに硬膜を適切に引っ張り、脳脊髄液の循環を助ける役割もあるんですよ」
「わあ、すごいですね!じゃあ、カイロプラクティックの施術はこの筋硬膜橋にも影響するんですか?」
カイゼン先生は熱心に説明を続けました。「はい、特に後頭下筋群へのアプローチは筋硬膜橋を通して硬膜の緊張を緩和し、頭痛の改善に繋がる可能性があります。研究によると、後頭下部のマニピュレーションや筋膜リリースは自律神経機能も改善するという報告もありますよ」
「なるほど!じゃあ、うちのパーソナルトレーニングではどう活かせますか?」トリ子さんは前のめりになって尋ねました。
「良い質問ですね。例えば、後頭下筋群や頸部の筋肉をバランスよく鍛えることで、姿勢改善と同時に筋硬膜橋の過負荷を防げます。加圧トレーニングと組み合わせることで、効率的に筋機能を正常化できるかもしれませんね」
「それって素晴らしいですね!パーソナルトレーニングとカイロプラクティック、両方受けるとより効果的なんですね」トリ子さんは明るく笑いました。
その時、クリニックのドアが開き、首を押さえた女性が入ってきました。「すみません、慢性的な頭痛で困っていて...」
カイゼン先生とトリ子さんは視線を交わし、にっこり微笑みました。「ちょうど良いタイミングですね」とカイゼン先生。
「こんにちは!KAIZEN TRIGGERへようこそ」トリ子さんが明るく迎え入れました。「今日はちょうど頭痛の専門家のカイゼン先生がいらっしゃいますよ。実は今、頭痛と首の痛みに関わる『筋硬膜橋』についてお話していたところなんです」
来院した女性は安堵の表情を浮かべました。「筋硬膜橋?初めて聞く言葉ですが...私の頭痛と関係あるかもしれないんですね」
「詳しく検査してみましょう」カイゼン先生は優しく微笑み、診察室へ案内しました。「最近の研究では、筋硬膜橋の機能不全が頭痛だけでなく、めまいや自律神経の問題にも関連している可能性があるんですよ」
診察室のドアが閉まると、トリ子さんは受付に戻り、パソコンを開きました。筋硬膜橋について、もっと詳しく知りたくなったのです。「牛久市でこんな最新の知識を活かした施術が受けられるなんて、素晴らしいわ」と独り言を言いながら、明日の予約表を確認し始めました。
「あ、そうだ!私も定期的にカイロプラクティックと加圧トレーニングを受けようかな」トリ子さんは自分の首を軽くマッサージしながら微笑みました。「筋硬膜橋のケア、始めなきゃ」
そのとき、診察室から患者さんの笑い声が聞こえてきました。トリ子さんもまた笑顔になりました。KAIZEN TRIGGERでの一日が、また穏やかに過ぎていきます。
詳しく解説
Myodural Bridge(筋硬膜橋)の基礎知識と臨床的重要性
近年、頭痛や頸部痛の病態生理を理解する上で、後頭下筋群と脊髄硬膜を連結する解剖学的構造「Myodural Bridge(筋硬膜橋、以下MDB)」が注目されています。私たち牛久市のKAIZEN TRIGGERでは、カイロプラクティック整体とパーソナルトレーニングを組み合わせたアプローチにより、このMDBの機能改善を目指した施術を提供しています。今回は、MDBの解剖学的詳細からその臨床的意義、さらには当院での具体的なアプローチ方法まで、最新の研究知見に基づいて解説します。
MDBの解剖学的構造と発見の歴史
MDBは1995年にHackらによって初めて報告された比較的新しい解剖学的概念です。彼らは小後頭直筋(Rectus Capitis Posterior Minor, RCPmi)と硬膜の間に密な結合組織による連絡があることを示しました。この発見は、それまで筋骨格系と中枢神経系を隔絶した別個の系統と考えていた従来の解剖学的理解に一石を投じるものでした。
その後の研究により、MDBは単に小後頭直筋だけでなく、大後頭直筋(Rectus Capitis Posterior Major, RCPma)や下頭斜筋(Obliquus Capitis Inferior, OCI)からも起こることが明らかになりました。つまり、MDBは「筋硬膜橋複合体(Myodural Bridge Complex)」として、複数の後頭下筋群から発する結合線維が環椎後頭間隙および環椎軸椎間隙を通過して、上部頸髄の硬膜に連続する複合的な構造です。
解剖学的に詳述すると、小後頭直筋の腹側部と大後頭直筋頭側部からの線維は環椎後頭間隙を経由して硬膜後面に付着し、一方で小後頭直筋の背側部・大後頭直筋尾側部・下頭斜筋内側部からの線維は環椎軸椎間隙を通って椎骨硬膜靭帯に融合した後、硬膜へと連続しています。この解剖学的配置により、頭部の動きに伴う張力が効率的に硬膜へ伝達される仕組みが構築されているのです。
興味深いことに、MDBは哺乳類において普遍的に存在する構造であることが判明しています。Yuan et al.(2016)の研究では、クジラ、サル、イヌ、ネコなど様々な哺乳類でMDBが確認されており、さらに鳥類(ニワトリやペンギン)にも類似の構造が存在するという報告があります。このような進化的保存性は、MDBが生命活動において必要不可欠な機能を担っていることを強く示唆しています。
MDBの生理学的機能とその重要性
MDBの生理学的役割については、いくつかの重要な仮説と研究知見があります。Zheng et al.(2020)は、MDBが硬膜を「受動的にアンカー(固定)」するとともに、「能動的な張力モニタリングシステム」として機能することを提唱しています。
まず受動的機能としては、頸部の伸展時に硬膜が過度にたるんだり折れ曲がったりすることを防ぎ、脊髄や神経組織の安定性を保持します。Humphreysらの研究によれば、小後頭直筋の主要な機能は頸部伸展時の硬膜の「皺寄せ(buckling)」を防止することであり、これにより脊髄の保護と神経根への不要な刺激を回避していると考えられます。
一方、能動的機能としては、MDBが筋-硬膜間の張力変化を感知するセンサーとして働く可能性があります。Scali et al.(2013)は、大後頭直筋と硬膜を連結する組織内に固有受容神経が走行し、筋腱および硬膜の両方へ分布していることを報告しています。この発見は、MDBが単なる物理的連結以上に、「筋-硬膜反射系(myodural biofeedback)」として機能し、頭部位置の微細な調整や姿勢制御に関与している可能性を示唆しています。
さらに近年特に注目されているのが、MDBの「脳脊髄液循環促進機能」です。Sui et al.の「筋脊髄液ポンプ仮説」によれば、頭部運動に伴う後頭下筋群の収縮・弛緩によって生じる硬膜牽引が、くも膜下腔内の圧変化を生み出し、頭蓋底-脊柱管接合部での脳脊髄液(CSF)流動を促進するポンプとして機能するとされています。Xu et al.(2016)のシネMRI研究では、頭部回旋運動によって環椎レベルでのCSF流速が有意に増加することが実証されており、またMa et al.(2021)の動物実験でも後頭下筋への電気刺激が髄液圧の上昇を招くことが示されています。
このMDBを介したCSF循環促進メカニズムは、脳の代謝産物除去や神経栄養因子の輸送など、中枢神経系の恒常性維持に重要な役割を果たしていると考えられます。特に近年、慢性頭痛やアルツハイマー病などの神経変性疾患とCSF循環障害の関連が指摘される中、MDBの機能不全がこれらの病態形成に関与している可能性も示唆されています。
MDBと臨床症状の関連
MDBの機能異常は、様々な臨床症状と関連することが報告されています。特に「頸原性頭痛」との関連は強く、後頭下筋群の過緊張やトリガーポイントによる筋硬膜橋を介した硬膜牽引が痛みを誘発すると考えられます。
Sun et al.(2020)のMRI研究では、頸原性頭痛を有する高齢女性において大後頭直筋の筋断面積が有意に減少(萎縮)していることが報告されています。この萎縮は筋機能不全と筋硬膜橋の牽引力バランス異常を引き起こし、硬膜への過度または不均等な張力が頭痛発症に繋がる可能性があります。
また、MDBの異常は頸部可動域制限にも関与します。正常な頸部伸展時には後頭下筋群の収縮に伴いMDBが硬膜を適切に牽引しますが、この機能が障害されると硬膜の可動性低下を招き、結果的に「動きに伴う痛み」や「可動域制限」といった症状が生じます。
さらに興味深いことに、MDBは自律神経機能にも影響を及ぼす可能性があります。Pacchia et al.(2012)の研究では、後頭下部へのオステオパシー的手技(環椎後頭部デコンプレッション)後に心拍変動(HRV)指標が改善し、副交感神経系の賦活が認められたことが報告されています。これは、MDBを介した機械的刺激が迷走神経系に影響を与え、自律神経バランスの調整に寄与することを示唆しています。
また、Chiari奇形I型患者における研究では、後頭下筋(特に小後頭直筋)の筋電図異常や脱神経変性が報告されており、頭蓋頸椎移行部の髄液循環障害と筋硬膜橋の過負荷の関連性が指摘されています。これらの患者では頭痛やめまい、自律神経症状が高頻度に見られることから、MDBの機能不全がこれらの多様な症状形成に関与している可能性があります。
カイロプラクティック整体とパーソナルトレーニングによるMDBへのアプローチ
牛久市のKAIZEN TRIGGERでは、カイロプラクティック整体とパーソナルトレーニングを統合したアプローチにより、MDBの機能改善を目指しています。この章では、具体的な評価法と介入方法について解説します。
MDBの機能評価法
MDBの直接的な評価は臨床現場では困難ですが、以下のような評価法を組み合わせることで、間接的にMDBの機能状態を推測できます:
- 後頭下筋群の触診評価:小後頭直筋・大後頭直筋・下頭斜筋の緊張度、圧痛、硬結の有無を評価します。特に後頭骨下部から第一・第二頸椎にかけての筋緊張は、MDBへの過度な張力を示唆します。
- 頸部可動域検査:特に頸部伸展と回旋時の制限パターンを評価します。MDB機能不全では特徴的な制限パターンが観察されることがあります。
- 頭蓋頸椎移行部の関節機能評価:環椎後頭関節および環軸関節の可動性評価により、MDBに影響を与える構造的問題を同定します。
- 自律神経機能評価:心拍変動(HRV)測定などにより、自律神経バランスを客観的に評価します。MDBの機能異常は自律神経系の乱れと関連することがあります。
カイロプラクティック整体によるMDBアプローチ
- 後頭下筋群への筋膜リリース:筋硬膜橋の起始部である後頭下筋群への直接的アプローチです。小後頭直筋、大後頭直筋、下頭斜筋に対する精密な筋膜リリース技法により、MDBを介した硬膜への過剰な張力を緩和します。 Silva et al.(2021)の研究では、後頭下部筋膜リリース後に自律神経指標の改善が報告されており、交感神経優位の指標であるLF/HF比の有意な低下や心拍数の減少が観察されています。
- 環椎後頭関節のモビリゼーション:頭蓋頸椎移行部の関節機能改善は、MDBの可動性向上に直結します。特に環椎後頭関節の正常な動きを回復させることで、筋硬膜橋を通じた硬膜への適切な張力伝達を促進します。
- 上部頸椎マニピュレーション:Kahkeshani & Ward(2012)のレビューによれば、上部頸椎マニピュレーションはMDBを介して硬膜の張力環境を改善し、頸原性頭痛の緩和に有効とされています。実際の解剖実習では、大後頭直筋への牽引が複数レベルの脊髄神経根の可動性を引き起こすことが観察されており、これはMDBを介した全硬膜系への影響を示しています。
- Suboccipital Inhibition Technique(後頭下抑制法):後頭下部に対する持続的な圧迫により、筋緊張を緩和する手法です。Pacchia et al.(2012)の研究では、この技法によりHRV指標が改善し、副交感神経優位へのシフトが認められています。
パーソナルトレーニングによるMDBサポート
KAIZEN TRIGGERでは、カイロプラクティック整体と併せて、MDBの機能を長期的に改善・維持するためのパーソナルトレーニングも提供しています:
- Deep Neck Flexor Training:深部頸部屈筋群のトレーニングは、表層の頸部筋(胸鎖乳突筋など)の過活動を抑制し、後頭下筋群への負担軽減に繋がります。特に低負荷での持続的収縮を中心としたトレーニングが有効です。
- 後頭下筋群の選択的強化:MDBの起始筋である後頭下筋群の筋機能改善は直接的な効果が期待できます。特に加圧トレーニングを併用することで、低負荷でも効率的な筋強化が可能です。
- 姿勢改善エクササイズ:前方頭位など不良姿勢はMDBへの持続的な負荷を増大させます。胸椎の可動性向上と肩甲帯の安定化を組み合わせた包括的な姿勢改善プログラムにより、MDBへの力学的ストレスを軽減します。
- 固有受容性トレーニング:MDBには固有受容器が豊富に分布しているため、固有受容性感覚を高めるバランストレーニングにより、筋-硬膜反射系の機能向上が期待できます。
これらのアプローチを統合することで、MDBを介した筋骨格系と中枢神経系の適切な連携を回復し、頭痛や頸部痛、自律神経機能の改善を目指します。特に牛久市のKAIZEN TRIGGERでは、カイロプラクター(D.C)としての専門知識と、NSCA認定パーソナルトレーナー、加圧トレーニングインストラクターとしての技術を活かし、個々の患者さんに最適化された総合的プログラムを提供しています。
MDBへのアプローチがもたらす多面的効果とKAIZEN TRIGGERの統合的アプローチ
MDBの機能改善を目指したカイロプラクティック整体とパーソナルトレーニングの統合的アプローチは、様々な臨床的効果をもたらすことが期待されます。ここでは、当院KAIZEN TRIGGERでの実際の取り組みを紹介しながら、その効果と重要性について考察します。
MDBアプローチの多面的効果
1. 頭痛・頸部痛の改善
MDBを介した硬膜への過剰な張力は、頭痛や頸部痛の重要な発生機序の一つです。後頭下筋群への適切なアプローチにより、MDBを通じた硬膜への牽引力を正常化することで、頭痛(特に頸原性頭痛や緊張型頭痛)の改善が期待できます。
Enix et al.(2014)のレビューでは、上部頸椎のマニピュレーションや後頭下筋へのマッサージが頸原性頭痛の軽減に有効であることを示しており、その作用機序として「筋骨格系と硬膜を直接つなぐ筋硬膜橋の存在」が重要な説明因子になると述べています。
当院の臨床例でも、慢性的な頭痛を抱える患者さんに対して後頭下筋群へのアプローチを中心としたカイロプラクティック整体と、姿勢改善を目指したパーソナルトレーニングを組み合わせることで、頭痛頻度の減少や強度の軽減が多く観察されています。
2. 脳脊髄液循環の促進
前述のように、MDBは頭部運動に伴う筋収縮により硬膜を牽引し、CSF循環を促進する「筋脊髄液ポンプ」として機能します。Xu et al.(2016)の研究では、頭部回旋運動によって環椎レベルでのCSF流速が有意に増加することが示されており、これはMDBを介した機械的作用によるものと考えられています。
脳脊髄液循環の改善は、神経毒性物質の除去や神経栄養因子の適切な輸送を促進し、中枢神経系の健康維持に不可欠です。特に近年、アルツハイマー病などの神経変性疾患とCSF循環障害の関連が示唆される中、MDBの機能改善を介したCSF循環促進は予防医学的にも重要な意義を持つ可能性があります。
KAIZEN TRIGGERでは、加圧トレーニングを取り入れたパーソナルトレーニングにより、後頭下筋群を含む深部筋の選択的な強化を図るとともに、カイロプラクティック整体による頭蓋頸椎移行部の関節機能改善を組み合わせることで、MDBを介したCSF循環促進を支援しています。
3. 自律神経バランスの調整
MDBを介した後頭下部への機械的刺激は、迷走神経系を含む自律神経機能に影響を及ぼすことが研究により示されています。Silva et al.(2021)の研究では、後頭下筋の筋膜リリース後に交感神経優位の指標であるLF/HF比の有意な低下が観察されており、ストレス緩和効果が示唆されています。
また、Pacchia et al.(2012)の研究でも、環椎後頭部デコンプレッション操作後に副交感神経系の賦活を示すHRV指標の改善が報告されています。これらの知見は、MDBへのアプローチが自律神経バランスの調整に有効である可能性を示しています。
当院では、カイロプラクティック整体による後頭下部の筋膜リリースや関節モビリゼーションと、リラクゼーション効果を高めた加圧トレーニングを組み合わせることで、自律神経機能の改善を目指した総合的なアプローチを提供しています。実際に、慢性的なストレスや自律神経症状を抱える患者さんから、「施術後に心身の緊張が和らいだ」という声を多くいただいています。
KAIZEN TRIGGERにおける統合的アプローチの意義
牛久市のKAIZEN TRIGGERでは、MDBの機能改善を目指し、以下の3つのポイントを重視した統合的アプローチを提供しています:
1. エビデンスに基づく個別化プログラム
MDBの機能状態や関連症状は個人差が大きいため、一律のアプローチでは十分な効果が得られないことがあります。当院では、前述の評価法に基づき、各患者さんのMDB機能状態を詳細に分析し、最新の研究知見に基づいた個別化プログラムを提供しています。
特に重要なのは、Palomeque-del-Cerro et al.(2017)のシステマティックレビューで強調されているように、MDBへのアプローチが「一時的な除痛」にとどまらず、「根本的な機能改善」につながるプログラム設計です。当院では、即時的な症状緩和を目指したカイロプラクティック整体と、長期的な機能改善を目指したパーソナルトレーニングを組み合わせることで、持続的な効果を追求しています。
2. 多面的アプローチによる相乗効果
MDBは筋骨格系と中枢神経系を繋ぐ重要な構造であるため、単一の手法ではなく、多面的なアプローチが効果的です。当院のカイロプラクティック整体では、後頭下筋群への直接的アプローチに加え、頭蓋頸椎移行部の関節機能改善も同時に行います。
さらに、パーソナルトレーニングでは加圧トレーニングの特性を活かし、低負荷での効率的な筋強化と血流促進を図ります。加圧トレーニングは、通常の筋力トレーニングと比較して関節への負担が少なく、成長ホルモンの分泌促進など代謝的効果も期待できるため、MDBの機能改善と全身状態の向上を同時に目指すことができます。
この多面的アプローチによる相乗効果は、単一の手法に比べて高い臨床効果を生み出すと考えられます。実際に、当院では「カイロプラクティック整体のみ」または「パーソナルトレーニングのみ」と比較して、両者を組み合わせたプログラムでより顕著な症状改善が観察されています。
3. セルフケア教育による持続的効果
MDBの機能状態は日常の姿勢や活動パターンにより大きく影響を受けるため、施術やトレーニングだけでなく、患者さん自身によるセルフケアが重要です。KAIZEN TRIGGERでは、施術に加えて以下のようなセルフケア教育を重視しています:
a) 後頭下筋群のセルフリリーステクニック: 患者さんが自宅で実施できる後頭下筋群の緊張緩和エクササイズを指導します。これにより、MDBへの持続的な過負荷を防ぎます。
b) 頭部位置・姿勢の意識化: 前方頭位など不良姿勢がMDBに与える負荷を理解し、日常生活での姿勢改善を促します。特にデスクワークやスマートフォン使用時の頭部姿勢に注意を促します。
c) CSF循環を促進する運動習慣: 頭部回旋などの頸部運動がCSF循環を促進することを説明し、定期的な頸部モビリティエクササイズを推奨します。
これらのセルフケア指導により、来院時以外の時間帯でもMDBの機能改善をサポートし、持続的な効果を実現しています。
MDBケアの重要性と今後の展望
MDBの研究は比較的新しい分野であり、特に臨床応用についてはさらなる検証が必要です。しかし、現在までの研究知見から、MDBの機能改善が頭痛・頸部痛の緩和、脳脊髄液循環の促進、自律神経バランスの調整など、多様な健康効果をもたらす可能性が示唆されています。
特に注目すべきは、MDBケアの予防医学的側面です。近年の研究では、CSF循環障害と神経変性疾患や認知機能低下の関連が指摘されており、MDBを介したCSF循環の維持・促進は、将来的な神経健康の保持に寄与する可能性があります。
KAIZEN TRIGGERでは、このような予防医学的視点も含め、MDBの機能改善を通じた包括的な健康づくりを支援しています。牛久市の皆様の健康と機能向上のために、最新のエビデンスに基づくカイロプラクティック整体とパーソナルトレーニングの統合的アプローチを今後も提供してまいります。
まとめ:MDBケアの3つのポイント
最後に、MDBケアの重要性と当院のアプローチをまとめると、以下の3点が重要です:
- 機械的ストレスの軽減: カイロプラクティック整体による後頭下筋群の緊張緩和と関節機能改善により、MDBを介した硬膜への過剰な張力を軽減します。これにより頭痛や頸部痛の緩和が期待できます。
- 筋機能の正常化: パーソナルトレーニング(特に加圧トレーニング)により、後頭下筋群を含む深部筋の選択的強化と協調性向上を図ります。これによりMDBの本来の機能である「硬膜の適切な牽引と支持」を回復し、長期的な症状緩和と機能改善を目指します。
- 総合的健康管理: MDBを介した脳脊髄液循環促進と自律神経バランスの調整により、神経系全体の健康維持を支援します。これは頭痛や頸部痛の改善だけでなく、全身状態の向上にも寄与します。
牛久市のKAIZEN TRIGGERでは、これらのポイントを押さえた総合的なMDBケアを提供し、患者さん一人ひとりの健康と機能向上をサポートしています。頭痛や頸部痛でお悩みの方は、MDBの観点からの評価と介入が新たな改善の糸口となる可能性があります。ぜひ一度、当院のカイロプラクティック整体とパーソナルトレーニングによる統合的アプローチをお試しください。
参考文献:
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