「これ、今月の売り上げ報告書ですけど、パーソナルトレーニングの予約が増えてますね」
受付のトリ子さんがカイゼン先生に報告書を渡しながら言った。
「ああ、そうですね」カイゼン先生が頷く。「最近は健康に関心を持つ人が増えてきたようですし、私どもの取り組みも徐々に浸透してきたようです」
「そうですよね」トリ子さんも頷いた。「でも正直、私にはよくわからないんです。カイロプラクティックは骨格の専門家が施術するんでしょう?それとトレーニングってどう関係があるんですか?」
カイゼン先生は笑みを浮かべながら答えた。
「確かに、カイロプラクティックは主に脊椎の手技療法ですが、その目的は身体の不具合を改善することです。単に痛みを取るだけでなく、身体のバランスを整え、機能の最適化を目指します」
「へぇ〜」トリ子さんは感心した様子だった。「でも、運動とはどう関係があるんですか?」
「適切な運動は身体のコンディショニングに欠かせません」と先生は続けた。
「カイロプラクティックで身体を整え、その上でトレーニングを行うことで筋力やフレキシビリティーを高められます。両者は車の両輪のようなものです」
トリ子さんはなるほどと頷きながら、更に質問を続けた。
「でも、私なんかは全然運動しないから大丈夫かなぁ。食べ過ぎちゃうタイプだし」
「ふむ」カイゼン先生は考え込むような表情をした。
「では、トリ子さんにちょうどよい質問ができそうです。トリ子さんは、健康に良くない、いわゆる"超加工食品"をよく食べますか?」
「超加工食品?」トリ子さんは首を傾げた。「ちょっとよくわかりません」
「超加工食品とは、例えばお菓子やインスタント食品、清涼飲料水など、工場で大量生産された加工度の高い食品のことです」と先生は説明した。
「こういった食品は、糖分や塩分、脂質が多く含まれているため、肥満や生活習慣病のリスクを高めると指摘されています」
「え、そうなんですか!」トリ子さんは目を丸くした。
「でも、私結構お菓子とかインスタント食品食べちゃうし、ジュースも好きだなぁ」
「ふむ、それは確かに良くありません」カイゼン先生は厳しい表情になった。
「超加工食品の過剰摂取は、がん患者の方でも予後を悪化させる可能性が最近の研究で示されています」
「えっ、マジですか!?」トリ子さんは目を見開いた。
「はい、中国の研究グループによる大規模な前向き研究の結果です」カイゼン先生は真剣な表情で説明を続けた。
「2500人以上の大腸がん患者のデータを解析したところ、アイスクリームやシャーベットなどの高糖質の加工食品を多く摂取していた人ほど、大腸がんによる死亡リスクが高かったそうです」
「え、えぇ〜」トリ子さんは途方に暮れた様子だった。
「アイスも駄目なんですね。私、結構アイスとか好きなんですよ」
「そうですね」先生はうなずいた。
「また、調味料や加工油脂類の摂り過ぎも、心血管疾患によるリスクを高めることがわかっています」
「それは、健康に悪そうですね」トリ子さんは恐る恐る言った。
「でも、私これまであまり気を付けてなかったです」
「ですから、食生活の見直しが必要不可欠なのです」先生は真剣な眼差しでトリ子さんを見つめた。
「私どもでは、食事指導にも力を入れています。栄養学に基づいた適切な指導と、カイロプラクティックやトレーニングの組み合わせで、トータルな健康サポートを目指しているのです」
トリ子さんはしばし考え込んだ後、決意に満ちた表情で答えた。
「わかりました!私、食生活改善に挑戦したいと思います!」
カイゼン先生は頷きながら、優しく言った。
「良かったです。トリ子さんの前向きな姿勢を嬉しく思います」
「へへ、がんばります!」トリ子さんは得意気な笑顔を見せた。
「でも、なかなか食生活を変えるのは大変そうですね。私、夜遅くまで働いちゃうこともあるし」
「確かに一朝一夕には変えられません」先生は理解を示しながらも続けた。
「ただし、小さな一歩から始めることが重要です。例えば、お菓子の代わりに果物を選んだり、揚げ物を控えめにするなど、できることから取り組んでみてはいかがでしょうか」
「なるほど!」トリ子さんは頷いた。「わかりました、そうしてみますね」
「そうしましょう」先生は微笑んだ。
「そしてカイロプラクティックやトレーニングで、からだを整えていけば、運動の習慣も身に付くはずです。あなたなら、きっと健康的な生活リズムを確立できると信じています」
「わぁ、ありがとうございます!」トリ子さんは嬉しそうに言った。
「私、頑張って食生活を改善して、運動も続けていきたいと思います!」
二人は固く握手を交わした。トリ子さんの眼には、希望に満ちた輝きがあった。
詳しく解説
序論
近年、日本をはじめとする先進国で超加工食品の消費が増加しており、これが生活習慣病の発症リスクを高めることが指摘されています。超加工食品とは、食品加工において多くの工程を経て、糖分、塩分、油脂が大量に添加された食品のことを指します。これらの食品は味が良く手軽に入手できるため、現代人の食生活に深く浸透しています。しかし、その一方で過剰な摂取は肥満や糖尿病、心血管疾患などの発症リスクを高めるとされています。
特に、超加工食品の摂取と大腸がんとの関連が注目されています。大腸がんは日本人の主要な死因の一つであり、食生活との関係が指摘されています。2020年に発表された前向きコホート研究1)では、超加工食品の摂取量が多い男性ほど大腸がんのリスクが高いことが報告されました。しかし、大腸がんと診断された後の超加工食品の摂取が予後にどのような影響を与えるかは不明でした。
このたび、中国・南京医科大学のDong Hang氏らによる前向きコホート研究2)が、eClinicalMedicine誌で発表されました。この研究は、大腸がん患者における術後の超加工食品摂取量と死亡リスクの関係を明らかにしたものです。研究対象は1980年から2016年にステージI~IIIの大腸がんと診断された2,498人で、術後の超加工食品摂取量と全死因、大腸がん、心血管疾患による死亡リスクとの関連を検討しました。その結果、超加工食品全体および特定の食品群の高摂取量が、大腸がんや心血管疾患による死亡リスクを高めることが示されました。
本論
超加工食品の摂取と健康への影響については、数多くの研究が行われてきました。2019年に発表された系統的レビューと메타分析3)では、超加工食品の摂取量が多いほど、全死因死亡リスクが高くなることが示されています。また、特に循環器疾患による死亡リスクが高まることが報告されています。このようなデータから、超加工食品の過剰摂取が健康に悪影響を及ぼすことは明らかです。
一方で、特定の疾患と超加工食品摂取との関連を検討した研究は少数に留まっていました。Dong Hang氏らの研究2)は、大腸がん患者における超加工食品摂取と予後との関係を明らかにした、きわめて重要な知見といえます。
本研究は、米国の2つの大規模前向きコホート研究(Nurses' Health StudyとHealth Professionals Follow-Up Study)のデータを用いています。対象は1980年から2016年にステージI~IIIの大腸がんと診断された2,498人で、追跡期間中央値は11年でした。食事摂取状況は、130品目以上の食品について隔年で調査されたFFQデータから推定されました。
結果として、超加工食品全体の高摂取量は、大腸がんによる死亡リスクとは有意な関連がみられませんでした。しかし、食品群別にみると、アイスクリーム/シャーベットの高摂取量は大腸がんによる死亡リスクを有意に高める(最高五分位でHR 1.86)ことが示されました。一方、CVDによる死亡リスクに関しては、超加工食品全体および油脂/調味料/ソースの高摂取量が有意にリスクを高めることが明らかになりました(最高五分位でそれぞれHR 1.65、HR 1.96)。
これらの結果から、大腸がん患者においても、特定の加工食品の過剰摂取が予後を悪化させる可能性が示唆されました。アイスクリームやシャーベットには糖分や乳製品が多く含まれており、インスリン抵抗性を亢進させ、がん進行に影響を与えた可能性があります。一方、油脂や調味料の過剰摂取が心血管疾患リスクを高めた理由としては、塩分や飽和脂肪の負荷が関与していると考えられます。
本研究の限界としては、食事調査がFFQに基づくため、摂取量の過小・過大評価の可能性があることが挙げられます。また、がん進行度などの情報が不足しているため、病期による解析ができていない点も課題です。さらに、追跡期間が最長で約40年と長期に渡るため、この間の食生活の変化を完全には捉えきれていない可能性があります。
しかし、本研究が示した知見は極めて重要です。がん治療の現場においても、予後改善のために食事指導を行うことが一般的となっています。本研究結果を踏まえ、特に患者さんへの適切な食品選択の啓発が期待されます。牛久市にある「KAIZEN TRIGGER」では、食事指導にも力を入れており、個々のクライアントに合わせた栄養学に基づくアドバイスを行っているそうです。カイロプラクティックやパーソナルトレーニングと併せた総合的なアプローチが、生活習慣改善を通じた健康増進につながると考えられます。
結論
中国・南京医科大学のDong Hang氏らによる本研究2)では、大腸がん患者における術後の超加工食品の摂取量と死亡リスクとの関連が明らかにされました。超加工食品全体の高摂取量は大腸がんによる死亡リスクを高めませんでしたが、アイスクリーム/シャーベットの高摂取量は大腸がんによる死亡リスクを有意に高めることが示されました。一方、心血管疾患による死亡リスクに関しては、超加工食品全体および油脂/調味料/ソースの高摂取量が有意にリスクを高めることが分かりました。
本研究結果から、大腸がん患者においても、特定の加工食品の過剰摂取が予後を悪化させる可能性が示唆されました。高糖質や高脂肪の食品の過剰摂取が、生活習慣病リスクを高めるメカニズムは理解されています。がん患者でも同様に、そうした食品の摂り過ぎは避けるべきです。生活習慣病の予防や、がん治療における予後改善のためには、適切な食生活を心がける必要があることが改めて示されました。
牛久市にある「KAIZEN TRIGGER」では、食事指導にも力を入れており、個々のクライアントに合わせた栄養学に基づくアドバイスを行っています。カイロプラクティック整体やパーソナルトレーニングと併せた総合的なアプローチが、生活習慣改善を通じた健康増進につながると考えられます。
適切な食事選択を心がけること、そして運動やカイロプラクティックなどの生活習慣の見直しが重要であると、本研究結果は改めて示唆しています。KAIZEN TRIGGERのようなトータルな施設の活用も一つの有効な選択肢となるでしょう。最新の医学的根拠に基づき、自分に合った最良のアプローチを見つけることが、健康的な生活を送る上で何より大切なのではないでしょうか。
参考文献
- Nutrients. 2020;12(4):935
- EClinicalMedicine. 2024;58:101529
- BMJ. 2019;365:l1949